ビジネスにおける倫理(Ethics) 東芝とオリンパス

IMA&Waseda
昨日、早稲田大学と米国のIMA(Institute of Management Accountants,管理会計人協会)共催のイベントに行ってきました。

早稲田大学を知らない人はいないですが、IMAは初めて聞いたという方も多いでしょう。

IMAはアメリカをはじめ世界各国において管理会計の普及活動を続けている非常に歴史のある団体で、CMA(Certified Management Accountants,公認管理会計士)という資格などを主催しています。
東京支部は早稲田大学の清水孝先生の研究室に置かれています。

アメリカでは、日本と異なり、外部公開目的の財務会計(Public Accounting)の資格CPAと経営管理目的の管理会計(Management Accounting)の資格CMAが明確に分かれており、両資格は同等に高く評価されています。
(Salary調査では、CMAの方がCPAよりも成功しているとも言われています)
日本の公認会計士は本来的には実はCPA、つまり前者に該当するわけです。

しかしながら、日本にはこれまで管理会計に真に特化した資格はありませんでした。(弊協会でその事業をはじめたわけですが、、、)

さて、そのようなIMAが日本で初めて(?)日本のCMA資格保有者を対象にして実施したセミナー&ワークショップがこのイベントであったわけです。

テーマは”Fraud and Ethics”(不正行為と倫理)

IMAはこのテーマを非常に重視しており、我々CMAが資格維持するために義務付けられているCPE(継続教育)において年間最低2時間のEthicsを含めることが要求されています。
昨日のものはこのCPE取得を兼ねていました。

前半はIMAヨーロッパのDirectorからのお話しとワークショップでした。
内容はアメリカのDiamond Foodsの粉飾事例がテーマでした。
粉飾の手口というよりも、何故粉飾が引き起こされたのかということについて、不正のトライアングル(Presseure/Incentive, Opportunity, Rationalization)、つまり高い業績を義務付けられるプレッシャーや逆に高すぎる金銭的なインセンティブ、不正を犯せる機会(強い権限、権限の集中など)、不正を自分の中で正当化できること(彼もあの会社もやっている、これは会社のためなんだ、、、)を中心に議論されました。

Diamond Foodsでは、当時新たな企業買収のために投資家の評価を維持し株価を高めておかなければならない、既にビジネス界で有名人であったCEOが経営に失敗できない、多額のボーナスなどといったプレッシャーとインセンティブが多数存在し、強い権限を持つCEOとCFOとが結託して、これは会社のためなんだという自己正当化もあり、見事にトライアングルが成立していたと分析されました。

会計的手法としては、材料費についてその一部をAdvance(前渡金)として費用化しない、という誠に単純なもので、私からすると監査法人による監査でなぜ発見できなかったのか誠に不可解に感じるものでした。
前渡金や前払費用などといった費用の繰延勘定が急激に増えている場合には粉飾を疑うというのはある意味常識なのです。

後半は、早稲田大学のアメリカ人教授からのお話しとワークショップでした。

テーマは、オリンパスと東芝の粉飾、
このテーマでも会計手法というよりその原因に焦点が当てられました。

いずれの会社もびっくりするほどその原因に共通点が見られました。
講義と議論の中から出てきたキーワードをお示ししておきます。

・経営の中核が腐っていた
・反対が許されない、反対したらクビになりかねない組織文化があった
・結果として”Rock the Boat”、不正をみつけても、何もせずじっとしている
・会議をしても、最後は議長(会長・社長)の鶴の一声で物事が決まる
・不正を防止する制度(監査委員会、内部通報制度、内部監査など)はあったが形骸化し機能していなかった
例えば東芝の例では、監査委員会の4人のメンバーの内ひとりは前CFO、残りの3人は社外で会計に疎い人、などという具合。
・極端に高い率の成功報酬制度

アメリカでEthicsが強調される、それは強欲資本主義が原因で日本には関係ない、
などとは言っておられません。
日本には日本特有の不正の温床が存在するということです。

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見せかけの因果に騙されてはいけません!

今日の日経新聞の経済教室に「高等教育への公的支出 多い国ほど生産性高く」という記事が掲載されていました。

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投稿者は、関西学院大学学長の村田治氏です。
村田治先生と言えば、財政学をご専門とされる日本を代表する経済学者のおひとり、
そんな偉い先生がおっしゃっているのだから、素直に聞けばいい、ついついそう思ってしまいます。

しかし、計数分析を専門にしている、あるいはちょっとへそ曲がりな私、疑ってかかる嫌な癖があります。
そもそも関西私大の雄関学の学長さんが、要はもっと「大学への公的支出を増やすべし」と言っておられるわけですから、結論ありきの議論である可能性も否定できません。

企業実務においても、あるいは白書類においてもよくあることです。

まず結論があり、そしてそれにあった事象を探し出す。

以前仕事でご一緒した、中小企業白書の編集に携わったことのある方のお言葉を思い出します。
「まず、中小企業施策が決まる、そしてその施策が正しいことを証明するデータを集める」

気をつけたいですね。

さて、本題に戻ります。
実は村田先生ご自身も”見せかけの相関である可能性も否定はできないが”とおっしゃっているように、あくまでこのご主張は仮説の段階です。

そもそも相関そのものが見せかけである。
あるいは、相関があるからといって因果関係にあるとは限らない。
そんなことがよくあるわけです。

まずは、村田先生がお示しになっている相関を表す散布図を引用させていただきます。
(出典:日本経済新聞平成29年1月9日朝刊経済教室面)

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これを見せられると信じたくなります。

そこで、考えるためのヒントを2つご覧いただきます。
いずれの事例も出典は「問題解決ファイシリテーター」(堀公俊著、東洋経済新報社)です。(必読の名著です)

(因果の逆転)
一つ目は、相関があっても因果の方向がいずれかわからないということです。

%e5%9b%a0%e6%9e%9c04暴力シーンを見るから暴力行為をするのか、
暴力行為をする人だから暴力シーンをみるのが好きなのか、
いずれが真の因果かこれだけではわからないということです。

(第3の因子)
二つ目は、第3の因子が隠れている場合です。

%e5%9b%a0%e6%9e%9c05朝食をとらないから非行に走る、
のではなく、
第3の因子「家庭が荒廃」が両方の原因になっている可能性があるということです。

さて、そんな目で村田先生の仮説を検証してみましょう。

まず因果の逆転はないのか?
「公的支出が少ないから労働生産性が低い」
ではなく、
「労働生産性が低いので、労働者一人当たりの税収が少なく、結果として高等教育機関への公的支出が絞られる」
という因果、無いとは言い切れません。
企業において、業績不振時にまっさきにカットされるのが教育費であることを考えるとこれもあり得そうに思えます。

%e5%9b%a0%e6%9e%9c02 ただ、これを検証するには、少なくとも
労働生産性→労働者一人当たりの税収
労働者一人当たりの税収→高等教育機関への公的支出額
という2つの因果を証明する必要があります。

二つ目、第3の因子は潜んでいないか?
ここは想像力を膨らませて考えるしかありません。
例えば、「理系学生の数」などというのが第3の因子候補となりえます。
つまり、「理系学生の数が相対的に少ないから生産性が下がる、更には理系学生の数が相対的に少ないから公的な支出が抑えられる(理系は文系よりも研究費が多額になります)」
といった具合です。

%e5%9b%a0%e6%9e%9c03ここまで考えてもうひとつ思い当りました。
実は第4の因子があるのかもしれないと、
つまり「経済のサービス化」です。
図に表すとこんな感じです。

%e5%9b%a0%e6%9e%9c07いずれもあくまで仮説、
なんらかの方法(証明するデータを得る、実験してみるなど)で検証されるまでは断定してはいけません。

しかし、このような事例に行き当たったら是非このように仮説をたてる練習をしてみることは分析力を高め、実務能力を高めるために非常に意味のあることです。

ビジョナリーであるということ

NHK朝ドラ「とと姉ちゃん」は昨日最終回を迎えました。
主役の高畑充希さんは、私と同郷(東大阪市)ということで、応援しながら見ておりました。

高畑充希さんが演じた小橋常子のモデルは「暮らしの手帖」を創業した大橋鎭子さんです。暮らしの手帖

このドラマが取り扱った多くのエピソードは、経済社会に生きる我々にとって示唆に富んだものでした。

唐沢寿明が扮する編集長の花山伊佐次(モデルは暮らしの手帖社の編集長花森安治)が吐く言葉、

一見、当たり前のことを、言っているのように過ぎなく感じるかもしれませんが、実際にビジネスの現場にいると忘れ去られていることの多さを再確認します。

「低予算だから粗悪品でも仕方がないという道理がどこにある?」

「ひと様が命がけで作った商品を、われわれは真正面から批評するんだ。こちらも命がけでやって、初めて責任が果たせるんだ」

「いくら予算のある大手の商品でも、(わたしたちの商品テストで)たくさんの問題点が見つかったんです。これはまだまだ改良の余地があり、努力するメーカーに成功する機会があるということではないでしょうか」

どうですか? しっかりと言葉をかみしめてみたいと思います。

気づかぬうちに忘れていたこと、見失っていたことがみつかりませんか?
主役が語った、ビジョナリーな台詞も印象に残っています。

このドラマの重要なテーマは、ビジョナリーであること、なのだと思います。

プライベートでは、
・家族を守る
・鞠子と美子を嫁に出す(2人の妹です)
・家を建てる

会社では、
(正確ではありませんが)戦争によって失われた普通の人たちの普通の生活の役に立つ

そんな明確な理念を持つことの大切さを私はこのドラマから改めて感じ取りました。

暮らしの手帖に毎号掲載されている「暮らしの手帖宣言」にその思いがこめられています。

これは あなたの手帖です
いろいろのことが ここには書きつけてある
この中の どれか一つ二つは
すぐ今日 あなたの暮しに役立ち
せめて どれか もう一つ二つは
すぐには役に立たないように見えても
やがて こころの底ふかくに沈んで
いつか あなたの暮し方を変えてしまう
そんなふうな
これは あなたの暮しの手帖です

✅あなたの会社の存在理由は何ですか?

✅夢・理想は何ですか?

✅大切な価値観は何ですか?

「理念で飯は食えん」と言った人が居ますが、

本当にそれでオーナーも経営者も社員も幸せになれるのか?

きれい事ではなく、現実問題として私自身考えてみたいと思っています。

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大村智氏のノーベル医学生理学賞受賞と地球環境のこと

ノーベル賞
今年も日本人のノーベル賞受賞に沸いています。

素晴らしいことです。誇らしく感じます。

さて、大村智氏の受賞について思うことです。

業績は、寄生虫に対する治療薬の開発です。

その治療薬開発のきっかけになったのが、土壌から発見されたカビに似た細菌だったといいます。
その細菌から見つかった物資「エバーメクチン」から治療薬「イベルメクチン」が開発されました。

ここで思うことは、自然環境に関することです。

以前私はスウェーデン発祥の環境NGO「ナチュラル・ステップ」の日本での活動を担っていたことがあります。

地球環境問題というと、多くの人がまっさきに考えるのは
「地球温暖化」
つまり、CO2やメタンガスなど温暖化物質による気温の上昇と、それに伴う気候変動です。

しかし、問題はそれだけではありません。

ナチュラル・ステップでは早くから、地球環境問題、さらには社会的持続可能性の観点から、守らなければならない4つの原則を明らかにしてます。

その中のひとつに、

「自然の中で人間社会が作り出した物質の濃度が増え続けない」

があります。

分かりにくい表現ですが、

要は、人間が作り出した、自然になじみのない化学物質は、自然の力で分解されて無害のものになるのが非常に困難なので、
一旦作り出してしまうと、それは自然環境の中に蓄積し、いつまでも残り続け、
自然環境に悪をなす

そんな意味です。

ずっと気になっていることがあります。

過剰なまでの清潔志向が、

”除菌” ”殺菌” という言葉を手放しの善のように言います。

除菌や殺菌のために作り出された化学物質のいくつかは、分解されることなく自然環境のなかに拡散・蓄積し

人間社会に善をなす微生物まで殺菌してしまいます。

農薬と言われると直接的に、人間の健康に影響を与えるので「問題だ」となりますが、

実は農薬も全く同じ問題を持っているということを思い出しておくべきでしょう。

農薬の多くは、土壌に生息している微生物やミミズなどといった自然の循環の担い手である生物を死に至らしめる効果があります。

その結果土地の生産力が低下し、やむなく化学肥料を使う。

その結果病気に弱い作物が育つ。

その結果、更に農薬を使う。

悪純化です。

自然環境の中には、まだまだ我々にとって意味のあるものがたくさんあるはずです。

それを殺さない努力の必要性を今回の大村氏の受賞が教えてくれている気がします。

立憲主義

いま国会で行われていることを、民主主義の危機と言う人が多いように思いますが、私はより本質的な問題は他にあると考えています。

”少なくとも形式的には” 選挙によって多数を握った政権が法案を可決させようとしているわけですから、”少なくとも形式的には” ”多数派の論理” にならざるを得ない民主主義は守られているともいえます。

もちろん、議論をつくさず、理解を促すことなく、強硬に採決するという姿勢は好ましいとは思いません。

ただ、より深い問題はそこには無いのだと思います。

民主主義の危うさに対する認識を根底にして生まれたのが、

立憲主義

です。

多数の暴走を防ぐために、

多数派と言えども最後の一線だけは踏み越えさせない

そこにこそ立憲主義の意味があります。

憲法の中味そのものについては色んな意見があっていいと、もちろん思います。

政策についてももちろんいろんな意見があり議論することは重要です。

しかし、いま現にそこにある憲法を無視しては、

”法の支配”

という文明に決別することになります。

たとえ、目指す政策が好ましいものであったとしても、文明社会の根本原理である”法の支配”を否定しては、もはやそれは

独裁、あるいは専制と言われても反論はできません。

大切にするべき価値観を無視してはいけません。

価値観を変えるのであれば、それこそ国民に信を問わねばならないというのが法治国家のあり方です。

例えば東芝の憲法にあたる経営理念にはこんなことが書かれています。

どなたも、東芝において掲げられてたる経営理念をよくご覧になり、いちどゆっくりと考えてみることが大事ではないかと思うのです。

東芝の理念

東芝さんには、是非、理念に立ち返り、信頼を取り戻されることを切に願います。

進むテレワーク(在宅勤務、モバイル勤務)、その効用と課題

テレワークリクルートが全社員対象に上限日数のない本格的な在宅勤務制度を導入するということが報じられました。

テレワークとは以下のように定義されています。(櫻井プレゼン資料より)

テレワーク02

テレワークの効用は以下のようにたくさんあり、徐々にではありますが導入が促進されています。私自身もたまに導入のアドバイスをすることがあります。

・仕事の生産性向上(時間効率化、移動時間削減、従業員のプロ化)
・リスク管理(災害時などにおける事業継続性確保)
・コスト削減(通勤コスト、家賃・水光熱費等のオフィスコスト)
・人材確保(有能な人材、主婦・高齢者、居住地を問わない採用)
・社員福祉(通勤の心身負担軽減、家族との時間確保、自分の時間確保、育児や介護との両立、地域社会とのかかわり増加)
・社会的意義(CO2削減、女性・高齢者・障碍者雇用促進、防災、通勤ラッシュ・渋滞緩和、一極集中抑制)

一方、課題として言われるのが、以下のことです。

・情報セキュリティー
・労働時間管理が困難
・業務の進捗管理が困難
・評価のしづらさ
・個人の費用負担(電気代など)
・コミュニケーションの取りにくさ
・上司の不理解
・孤独感、疎外感

このように課題も少なくありませんが、十分クリアできることが分かってきています。ポイントは、たとえば次の通りです。

・事務分析によってあらかじめペーパレス化を中心とした事務の効率化を高めておく
・労働時間・労働安全衛生などの制度を改定する
・情報ネットワークを整備する(社内情報の電子化、電話会議・Web会議、シンクライアントなど情報セキュリティー対策など)
・マネジメントスタイルの変更
権限委譲、まとめて承認、細かい管理をせず成果を中心に評価、多少さぼっても結果がでていればOKと割り切る、

そして、投資はコスト削減によって確実に回収する、そのための事前計算は欠かせません。
この場合には、テレワークによる定性的な効果は考慮に入れず、あくまでも目に見えるコスト削減効果によって投資収益性を評価することが必要です。
・投資利回り
・投資の回収期間
この2つはしっかりと事前にチェックすることになります。

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安保法制論議、感情論を抜きに冷静かつ論理的に考えるための整理を試みました

安全保障 この記事は私自身の政治的立場を表明することを目的にしていません。

今議論されている安保法制について、感情に流されることなく冷静に考えるための情報を少しでも提供できればと思い、まとめてみました。

いずれの陣営も最終目的は「平和」(のはず)です。

「平和」を求める人たちが口汚く互いを攻撃し合うことの醜さにそろそろ気づいて欲しいなどと感じます。

まず、最初に簡単に賛成論と反対論を一表にまとめてみました。(漏れや誤解に基づくものがある場合は筆者の不勉強によるものです。その場合はお詫びします)

集団的自衛権の賛否論対比表

最近の論議で思うこと、

それは、法律論と政治論、さらには感情論とがごちゃまぜになって、賛成派と反対派の議論がかみ合っていないのではないかと感じることです。

「集団的自衛権は違憲なので認められない」

「いやいや、憲法学者の中にも合憲といっている人が少なからずいる」

「悪い奴から国を守るには戸締りをちゃんとするのは当たり前だ」

「友達がなぐられているのを放置することなどできるわけがない。当然加勢するべきだ」

「他人の戦争に巻き込まれることになるだけだ」

「新法制は戦争法、子どもたちを戦争に駆り立てる悪法だ」

「集団的自衛権は戦争をするためのものではなく、戦争を抑止するためのものだ」

議論百出です。

一面だけを見るのではなく、交通整理をして、多面的にまじめに考える必要性を感じたわけです。

議論を整理するための最も基本的な技術は分類です。
何を基準に分類するかということが実は時として難しく、その方法が議論の方向を左右することも多々あるのですが、

ここでは上の表のように素直に、法律論と政治論(脅威、同盟関係)そして経済(海外権益、対米貿易関係)とに分けて、主だった論点を整理を試みました。(感情論はいらないでしょう)

以下、補足説明をしたいと思います。

1.法律論

日本は立憲主義をとっています。
さて、立憲主義とは何でしょうか?

「改憲問題」(ちくま新書 愛敬浩二氏著)の記述が私にはわかりやすかったので引用させていただきます。

=P.49~50より引用=
それは「民衆の支配=多数者支配」としての「民主主義」によって正当化される政治権力さえも、法的・制度的に制限されねばならないという考え方である。
ヒトラーの率いるナチスが権力を掌握したのは、あくまでも選挙を通じた民主的な選択の結果である。
<中略>
要するに、立憲主義とは、多数決によっては覆せないルール(=憲法)をあらかじめ用意しておいて、多数決によって運用される通常の政治の「逸脱・暴走」を抑止しようとするプロジェクトである。
=引用ここまで=

これ以上の説明は必要ないと思います。

安倍総理がヒトラーだという意味で申し上げているわけでは、もちろんありません。
(そういう感情論を述べる人が少なからずいるので)
純粋に法理として参考までに述べている次第です。為念

立憲主義である以上、政府が違憲と見なされる政策を憲法を変えずに行うことができないのは当然であり、それをするということは国民による憲法改正権を剥奪する暴挙ということになります。

では、今安倍政権が成立を目論む安保法制は違憲なのでしょうか?

(1)違憲論の論拠(多数派)
同盟国への武力攻撃を理由に別の国に先制攻撃を行うのが集団的自衛権の行使であるが、日本から攻撃を受ける国にとってそれは、日本の一方的な武力行使にあたる。
これは、日本の領土・領空・領海内において、不正の侵略を行う他国に対する防御、すなわち個別的自衛権の行使とは、全く何の縁もゆかりもないものである。

「間接的には自国防衛に役立つ」という当然の反論がありそうです

(2)合憲論の論拠(少数派)
集団的自衛権は個別的自衛権とともに国連憲章によって認められた全ての国家にとっての自然権である。
とするなら、日本国憲法においても認められると解釈される自衛権の中に集団的自衛権を含めるか否かは、憲法論というよりもその時々の政治判断にゆだねるべき問題である。

「自然権であっても、日本国憲法はそれを放棄しているのだ」と言われるでしょう。

なかには、国連憲章上、集団的自衛権の行使は義務だと主張する人がいるようですが、それは誤っています。
私は学生時代国際法を専攻していましたのでここはこだわります。
国連憲章上(43条)において集団安全保障を遂行するにあたっては軍事力を提供しなければならいことになっていますが、集団的自衛権を義務化する規定はありません。

集団的自衛権は第51条において、「個別的又は集団的自衛権の固有の権利を害するものではない」と規定されているにすぎません。(有斐閣「国際条約集」第四版より)

尚、念のため集団安全保障と集団的自衛権の違いをわかりやすくご説明しておきます。
集団的自衛権=仲間が団結して、外的と戦うこと。この場合軍事力はグループの外に向かって使われます。
集団安全保障=仲間内で暴力行為を働く者にたいして皆で協力してやめさせること。この場合軍事力はグループの内側に向かって行使されます。
国連が安全保障における存在意義は集団的自衛権ではなく、集団安全保障の方であるということを知っておくべきでしょう。
(現時点で日本は集団安全保障への軍事力提供にも疑問があり、その意味で国連加盟国であり続けることに問題がないとは言えません)

ますます、判断が難しくなったでしょうか?

いずれにしても、この点を無視しては「法的安定性などで国が守れますか」と言った放った政治家と同レベルということになります。

決着つかなければ、当然改憲をも視野に入れ、国民に信を問わなければならないでしょう。

「そんな悠長なことを言ってはいられない」それが推進側の気持ちでしょう。わからなくはありません。
でも、この手続きを無視することは立憲主義を否定することにつながるというのも以上からご理解いただけるでしょう。

2.政治論

(1)中国などの脅威
フィリピンやベトナム、あるいはモンゴル、さらにはチベットやブータンなどへの侵略行為を考えると、中国の領土的野心を否定することはできないと感じます。
習近平国家主席自身が「広い太平洋には中国とアメリカという二大大国が分け合うだけの十分な空間がある。」と発言していることからも脅威論はまやかしと言い切るのはさすがに困難でしょう。
そして、そのような中国の野望をあきらめさせるために、アメリカの後ろ盾は不可欠であるという議論です。
そして、これを考える際には、軍事論が背景になければ正しい理解は得られないということになります。
通常兵器での彼我の関係。核兵器を前提とした彼我の関係。

(2)肩代わり論
2013年9月10日、米国大統領バラク・オバマは「米国は、世界の警察官ではない」と宣言しました。
かつての国力を急速に失いつつあるアメリカが、もはや世界の警察として軍事力を行使することに限界を感じています。
その中で、同盟国の軍事力に肩代わりさせたいという思惑はある意味当然でしょう。
そうなると、日本としては当然人的にもお金的にも負担が増えます。
そして、結果として本来守るべき日本の守りが手薄になるのではないかとも危惧されています。
そもそも今回の安保法制はこの脈絡で出てきた可能性が高いのではないかとも思えます。

(3)テロへの脅威
アメリカの戦争に加担しているとみなされることによって、日本がテロのターゲットになりかねないという危惧があります。

(4)他人の戦争に巻き込まれるリスク
日本の自衛とは関係の無いアメリカの戦争に巻き込まれるのではないかという危惧が指摘されています。

(5)更なる軍拡と地域の不安定化の恐れ
日米同盟の強化によって、それが抑止力になり中国などの脅威が減少すると主張する陣営、
いや逆に更なる軍拡に向かわせると主張する陣営が対立しています。

(6)アジア諸国(中国・韓国を除く)の支持
新安保法制について、中国と韓国を除くアジア諸国などが賛意を示しています。
ただ、彼らに積極的反対をする理由はなく、むしろ場合によっては日本に守ってもらえる可能性が高まる国々は少なくとも反対はしませんから、これを新安保肯定の根拠にはできないでしょう。
ヨーロッパ各国やカナダも賛意を示しているということですが、彼らの軍事的負担軽減を考えるとこれも当然の反応と理解できます。
中国が反対するのも彼らの安全保障あるいは領土拡大に対する阻害要因になるのだからこれも当然。
いずれの国も極めて論理的な反応をしておられます。
韓国が反対する理由だけがよくわかりません。

3.経済的要請(これはあまり表だって議論されていない印象がありますが)

(1)対米貿易
「肩代わり論」と関連して、アメリカとの良好な関係を維持することは最大の輸出相手国であるアメリカとの経済的関係を維持向上させるうてで不可欠であるという理屈です。

(2)中近東・シーレーン・アジアへの経済的要請
中近東の石油への依存度とアジアの急成長をを考えると、経済界の本音としてこの地域への軍事的プレゼンスを高めたいという思惑もあるでしょう。

4.他にどんな選択肢がある得るのか?

さて、今回の安保論議を考える際、最後に残された課題があります。
それは、政府提案の新安保体制を否定する場合、それに対する対案は何かということです。

これまで通り、アメリカの傘に頼るという選択肢はさすがにないでしょう。

となると、同盟関係を構築しない前提ですから、大きな方向性としては2つしか無いように思われます。

(1)中立自主防衛
スイスやオーストリアの路線です。
この場合には、改憲は不可欠でしょう。
今現在の法制のもとでは、自衛隊は十分な防衛行動をとれる前提がありません。
現在の軍備の範囲内でできることをやる、そういう選択肢もあるでしょう。

ただ更に、軍備増強や核武装論も出てくる可能性があります。
そうなると、今回は賛意を示しているアジアからも反発が予想されます。
また、これまでのアメリカとの良好な関係もあるいは維持できないかもしれません。

(2)非武装中立
選択肢としてはあり得ます。馬鹿にするつもりはありません。
私も学生時代、この理想を真剣に考えていた時期があります。
この路線を選択するということは相当な覚悟が必要でしょう。
侵略されないまでも、外交上のひとつのカードを失うことは国際関係において不利な立場になることもあるでしょうから、今までのような繁栄を維持することは難しいでしょう。
文字通り「いばらの道」と言っても過言ではないでしょう。
それでも「人類初の試みを我々がやるのだ」との高邁な理想の元この政策を推進することは意義のあることでしょう。
ただ、これまでの護憲派のように「反対反対」「憲法九条を守れ」と叫んでいるだけではこの理想は実現しないことも事実です。
憲法九条を使ってどんな積極外交を展開できるのか、そこのところをはっきりとさせないと、本当の意味で国民に支持されることはないでしょう。

5.最後に

70年前の戦争を考え直すこの大切な時期に、理性的に、あくまで理性的に考えてみようではありませんか。

最後に、繰り返しになりますが、両陣営ともに反対側への不遜な態度は改めるべきだと常々感じています。
たとえ意見が異なっても、相手を尊重する姿勢は大切です。
小ばかにしてみたり、高圧的にやりこめようとしてみたり、人格批判してみたり、目に余るものを感じます。

そんな中からは決して新しい価値は生まれてきません。

様々な見解を整理し、全員がその情報を共有し、同じ土俵の上で、お互いを認め合いながら対話する。
その必要性を強く感じています。

中国バブルにギリシャ危機、6年サイクルの危機、2015年はやはり・・・

上海株価
今日、長期保有してきた保有株をほぼすべて売却しました。保有株、6銘柄すべて差益プラスで売却することができました。
(源泉税の多さに今更ながらびっくり(^_^;))

10年ぐらい前からセミナーの中でお話ししてきた「ちょいネタ」があります。

1973年 第1次オイルショック
-この間6年-
1979年 第2次オイルショック
-この間6年-
1985年 プラザ合意と円高不況
-この間6年-
1991年 バブル崩壊
-この間6年-
1997年 金融危機(山一、拓銀、三洋証券破綻など)
-この間6年-
2003年 りそな銀行国有化、日本郵政公社発足(他の年に比べるとちょっと小粒ですが)
-この間6年-
2009年 リーマンショック後の大不況(リーマンは2008年なので1年ずれました)
-この間6年-
2015年 ?

多少のずれはあるとはいえ、6年ごとに何かがある
もちろん、毎年何かがあるのですが、このサイクルでの経済的出来事は確かに大規模です。

ということで、ずっと2015年は要注意と言ってきました。
この6年サイクルという法則性の根拠らしいものは必ずしも明確ではないので、占いとさほどかわりませんが、、、

ずっと言われてきた危機の火種、中国バブル、ギリシャ危機、ISIL

そしてついに中国株価の暴落

冷静な判断として、一時リスク資産を避難させることにしました。

危機が、フィクションに終わることを祈りつつ。


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大塚家具の分析が、本日めでたく1000アクセスを達成しました。他を一切寄せ付けない、ぶっちぎりのナンバーワンです。
そこまで、世の中の注目度が高かったということです。
ほかにもたくさん企業の分析をアップしたのですが、単なる財務分析ではなく、スキャンダラスなドラマがひきつけたということでしょうか。

大きく離されてはいますが、近大が第2位、やはり話題性が他の企業物よりも勝っているようです。

住友ゴムとグッドイヤーの分析は、最近のアップでしたので、トップ5には食い込んでいませんが、順調にアクセス数を伸ばしています。(今現在69アクセス、13位)

トップ20位までのリストのサムネイルを下に置きますので、ご興味があればご覧ください。

AccessRanking_as of 1525 June9

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