管理会計学会2017t

今年も参加しました、日本管理会計学会全国大会、
今回は福岡大学での開催、大好きな博多へ行く口実、、、ではなく、しっかりと学会のトレンドや研究成果を吸収するために行ってまいりました。
もちろん、博多ならではの、新鮮なお魚・水炊き・屋台も楽しんできましたが、、、(ほかの仕事もくっつけて3泊いたしましたので)

さて、本題、私は実務家ですから、研究の方法論よりも実務に活かせそうな研究成果に興味があることは言うまでもありません。
全国大会ともなると全部で51もの報告がありました。5~6会場で同時並行で実施されますので、そのすべてに参加するためには分身が5人必要、つまり不可能というわけで、
事前提供されているペーパーなどから判断して参加するテーマを選択して臨むわけです。

聴講することができた報告から、実務への示唆があると感じたものを簡単に結論部分のみ報告したいと思います。

1.非財務指標への差異分析の適用
明治大学の院生である山脇香織氏による報告でした。(共同研究者として同大学院の三谷華代氏、小村亜唯子氏、同大学の鈴木研一氏が名前を連ねておられます)
学問的な価値は私には正確にわかりませんが、実務家として聞いたとき、私が聴くことができた報告の中で、
”本年度ナンバーワン”
であったと思います。
内容は、従業員満足度のある大きく点数を下げた項目についての差異分析でした。
差異分析は、例えば材料費において、材料価格差異と材料消費量差異とに分けて分析する、あの手法です。
単純な手法ですが、セグメントに分けて差異分析することで、今まで見えていなかった問題点を浮き彫りになるプロセスは、
まさに、経営コンサルタントの提案力に通じるものを感じました。
手法としての新規性、学問としての新たな事実の発見、そういったものは多くはないかもしれませんが、
事実を鮮明に浮かび上がらせる、コミュニケーションのための手法としては秀逸であったと思います。
思わず、手を挙げて「質問ではなく感想ですが、、、感動しました・・・」と語ってしまいました。
このテーマ、ここで書くには紙幅が足りません。
また、報告者の皆さんの承諾を得ずに詳細に出すわけにもいきません。
ご興味ある方は、私に直接お申し出ください。(mic.sakuraiあっとherbist.co.jp 「あっと」は@です)

2.管理会計の研究分野の拡大
統一論題「管理会計の拡張と実務適用の課題」の基調講演として、専修大学の伊藤和憲教授からのご報告でした。
(1)業種業態の拡張
経済のサービス化、非営利組織の増加から、従来製造業が中心であった対象業種業態が、サービス業や非営利企業にまで拡大しつつある。
(2)研究対象の拡張
競争力の源泉が、製造設備などのハードからノウハウ・ブランド・評判などといったインタンジブルズ(無形資産)にシフトするに伴い、管理会計のこの分野での研究が活発になっている。
(3)価値創造への影響
決定したことを確実に実行するためのマネジメントから、やるべきことそのもの、つまり戦略の分野に拡大している。
そのことから、管理対象も財務指標だけでなく非財務指標がより重要になりつつある。
<櫻井補足>
これらのトレンド全てがバランスト・スコアカードへの注目を促すことになっています。

3.設備投資の経済性評価に関するトレンド
北海道大学の篠田朝也准教授からのご報告でした。
(1)評価手法の変化
単純回収期間法(SPP)の採用が圧倒的に多いが、時間の価値を考慮に入れる正味現在価値法(NPV)や内部利益率法(IRR)の採用も近年急増している。
(2)併用
・正味現在価値法(NPV)を採用する企業は、割引回収期間法(DPP)と投資利益率法(ROI)を併用する傾向が強い。
・内部利益率法(IRR)を採用する企業は、正味現在価値法(NPV)を併用する傾向が非常に強い。
<櫻井補足>
単一の投資案件の経済性評価や排反案(同一目的投資間の比較)には正味現在価値法が最も優れていることは既に通説になっています。
一方、複数の独立案(それぞれ異なった目的の投資)の優先順位付けは投資規模も異なり、額で比較することはできず、率である内部利益率法もしくは収益性指数法(日本では利用度は極端に低いが米国での採用度は高い)によって行うのが一般的ですから、この研究はそれを追認したことになりそうです。
(3)事後的統制
投資を実施した後の経過観察や事後監査などはあまり行われていない。
<櫻井補足>
一旦投資を実施した後は、それは埋没原価でありもはや取り返しがつかない、という理由で事後的統制が行われないのかもしれませんが、
将来の同様の投資を判断する際の貴重なデータとして、当然事後的統制はマネジメントにおいて非常に重要です。

4.業績評価の主観性が財務業績におよぼす影響
慶応大の院生桝谷奎太氏による報告で、この方の報告には昨年も質問をぶつけたようで、いつも興味深い投げかけをしてくださる方です。
今回は、なんと「業績評価に主観性を持たせることが財務業績にプラスに働く」というものでした。
普通は逆に考えます。つまり、業績評価は可能な限り客観性を高めて被評価者の納得性を高める努力を行わなければならない。
実務家の常識ですから、それとは逆の結論が報告されたわけです。
結論はこうです。
「不確実性の高い競争環境においては、戦略的に重要な少数の業績指標を事前に特定するとともに、事後的に明らかになった期中の重要行動については主観性を用い柔軟に評価することが適当である可能性を推察可能」(桝谷氏のレジュメから引用)
<櫻井の理解>
以下は、報告会の後で指導教官の吉田英介教授がわざわざ質問者である私のところに補足説明に来てくださった、そのときのお話を踏まえた私自身の理解です。
つまり、不確実性が高い環境においては、適切な目標設定は困難である。
故にあくまで客観性にこだわると環境変化を考慮しない評価になり、納得性が高まらない。
故に評価者は事後的に相対的な観点(ライバル企業との比較など)も踏まえて評価することが結果として業績にプラスに働く。
私自身としては、そうであるなら、事前に相対目標を決めておきそれも踏まえて評価することで客観性は確保できるように思いますが、企業実務として主観性が使いようによって業績に貢献するということがわかったことは非常に新鮮で刺激的でした。

 

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