2.「トヨタ自動車の原価企画~コストを作り込む~」(SBI大学院大学 小林英幸氏 元トヨタ原価企画責任者)
JALの話題同様、箇条書きにします。

①「トヨタにおける原価企画は『顧客に受け入れられる販売価格で利益を確保できる目標原価を設定し、サプライヤーを含むすべての関係者の協働によってその目標原価の達成を図る活動』と定義されており『予定価格-目標利益=目標原価』の式で表すことができる。この場合の販売価格は市場が決め、目標利益は会社の意思である」

トヨタにおける原価企画の歴史と現状における体制などが語られましたが、以下個人的に面白かった箇所をお示しします。

②「原価企画体制は3次元マトリックスになっている。
車両軸(カローラ、カムリ、プリウス等)、部品軸(ボディ、シャシー、電子、エンジン等)の2次元マトリックスに更に原価企画手段(RR-CI、VA、部品標準化)ごとの委員会活動軸を加えた3次元マトリックスで原価企画にとりくんでいる」
注)RR-CI=Ryohin Renka Cost Innovation (良品廉価イノベーション)

③「目標原価は低め一杯のストライク。甘ければ簡単に達成、低過ぎれば見送られる」

具体的に次のような興味深い枠組みが示されました。

コストとCVIから目標原価を決める方法

そして、この目標値からのかい離の大きい部品を重点的にフォローすることで重点指向を維持しておられるとのことでした。

最後にトヨタのコストダウンについてお話しになった次のお言葉が印象的でした。
「乾いた雑巾を絞る」のではなく「乾いた雑巾も放っておくと湿ってくる」

3.「管理会計の効果を高める組織能力」(中央大学商学部准教授 福島一矩氏)

この報告では、

管理会計などの管理システムの利用は組織業績との間に一定の関係を見出すことは難しいということを前提に(つまり、管理システムを利用するだけでは業績向上につながらない)

「企業外部に存在する新たな知識・情報の価値を認識し、取り入れていくことによって既存の知識や組織ルーチンを変化させるような組織の吸収能力の高さが」管理システムの利用が組織業績につながるためのキーである。

そのような仮説を証明しようとする研究の成果に関するものでした。

要は価値ある情報を外部から得る能力が高いほど管理システムが有効に機能し、結果として組織業績向上に貢献する、そういうことを証明したいということだった訳です。

学界における研究というのは、よく素人、あるいは実務家からすると「当たり前」に思えることを証明するということに向けられることがあります。

研究ではアンケート調査をベースにした統計的分析が行われ、

◎「戦略的業績管理の利用は吸収能力の高い組織では組織業績に対して与える影響を高めることができることが確認された」と結論づけられました。

ついつい、真っ先に手を挙げて質問させていただきました。

質問1:
吸収能力の高さは良き戦略構築の可能性を高め、そのことが業績に貢献したと考えるのが自然だと思うが、その点はどうお考えか?

質問2:
吸収能力の内容としてはどのようなものを想定されたか?

それぞれ丁寧にご回答いただきましたが、その直後に櫻井通晴先生から、同じような質問だがと前置きした上で次のようなお話がありました。

「吸収能力の高さが業績に貢献するというのは感覚的に当たり前のことではないか」
「吸収能力の内容についてもっと深めた研究が必要ではないか」

尊敬する櫻井通晴先生のお言葉、「我が意を得たり」でした。

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