粉飾とは、わかりやすく言うと、「ルールで認められた裁量の範囲を超えて、利益を水増した決算を行うこと」です。

ルールの範囲内あればある程度利益操作はできるという意味でもありますが、、、
それはともかく、最近では東芝の例(なぜか粉飾という表現は避けられましたが、、、)が記憶に新しいところです。
このケースでは巨額の工事受注案件を中心に行われており、この後で述べる方法だけではなかなか見破ることは難しいですが、
一般的な粉飾であれば私の経験上、結構な確率で目の付け所を当てることはできます。

どんな方法か、意外に簡単です。

それは、経常損益と経常収支とを比較するとうことです。
経常損益と減価償却前経常利益のことです。
一方経常収支は経常損益に売掛債権の増減、棚卸資産の増減、買掛債務の増減を勘案して資金の収支を計算したものです。

計算式で表すと、
経常損益=経常利益+減価償却費
経常収支=経常損益±売掛債権増減(増はマイナス)±棚卸資産増減(増はマイナス)±買掛債務増減(増はプラス)(時には、±前払費用±仮払金などの流動資産を調整)
となります。

損益と資金収支ですから当然同じにはなりません。
しかし、単年度では一致しなくても3年ぐらいの合計ではおおよそ一致してくるものです。

特に、経常損益>経常収支の関係が3年以上続いたりしていたら要注意です。
経常収支は嘘をつけません、キャッシュは現物ですから、
一方経常損益は粉飾の対象です。

例えば、期末の在庫を水増しして売上原価を圧縮する操作をすれば、棚卸資産が増加しますので、その分が経常収支ではマイナス要素となり自動的に粉飾は打ち消されます。
売上を水増し・前倒ししても売掛債権が増加しますので同じ結果になります。
仕入除外して売上原価を圧縮する操作を行うと、買掛債務が減少し経常収支ではマイナス要素になります。
このとき買掛債務支払期間の異常が短縮化が同時に見られます。

このような売上原価の操作によって粉飾する場合には、通常売上総利益率(粗利益率)が異常に上昇したりします。

最近あったある会社のある期、こんなケース、かなり怪しいです。

経常損益 174,606千円 前後5年合計  284,587千円
経常収支 -47,566千円 前後5年合計 -146,514千円 
棚卸資産滞留月数(前後5年間の動き)
 1.0か月 0.7か月 1.5か月(当期) 1.2か月 0.4か月
売上総利益率(同)
 8.9% 10.6% 15.5%(当期) 10.3% 8.9%

また、前払費用、仮払金などといったその他流動資産の異常な増加を伴うこともたびたびあります。
つまり、本来費用処理しなければならない取引を資産として計上し、翌期以降に繰り越すということが可能だからです。

更に粉飾をしているときには、時として税率が異常に低下することがあります。
提出された税引前利益と申告上の所得との間に大きな差があることを示唆しています。

専門的には、ほかにもテクニックはありますが、
ごく簡単にあたりをつけようと思えば、大雑把にいうと、損益とキャッシュフローを比較してみるといことになります。

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