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今週5日に日立グループが事業の一層の選択と集中を進めるために、シナジーがあまり見込めそうにない日立工機などの売却を発表しました。

日立工機は、1948年設立、連結 6,528名 単独 1,372名、連結売上高約1,400億円の主に電動工具を製造販売している大企業です。
売却予定額は約500億円とか。
売却金額はどうやって決まるのでしょうか?
色んな方法があるでしょうが、代表的な方法が将来の業績予想から企業の現在の価値を測定する企業価値計算です。

細かい説明はここでは割愛しますが、おおよそしたの図のような考え方です。
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将来得られるであろうキャッシュを割り引いて合計する、というのが基本的な考え方ですが、企業は永続しますので下のような特別な割引計算を行うことになります。

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日立工機の過去5事業年度のフリーキャッシュフローを試算してみたのが下の表です。
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仮に、起点におけるフリーキャッシュフローが30億円、目標投資利益率を8%、フリーキャッシュフローの年成長率を3%とすると、日立工機の企業価値は次のようになります。

将来のフリーCFの現在価値=30億円÷(8%-3%)=600億円

企業価値=将来のフリーCFの現在価値-有利子負債=600億円ー383億円(2016年3月31日現在)=217億円

この計算からは、売却金額500億円は将来の成長をかなり見込んでいることになります。
ちなみに、日立グループの持ち株比率は大よそ50%ですので、全体では1000億円、この前提ですと、年率大よそ6%の成長が必要ということになります。

かくのごとく、民間セクターにおいては厳しい投資収益性が求められる現状があります。
資源の無駄使いの観点からも好ましいことです。

翻って、公共セクターはいかがなものでしょうか?

東京オリンピックのカヌー・ボート競技場に予定されている海の森水上競技場の建設費は約491億円と報じられています。
競技環境の劣悪さから競技者からも反対の声が上がっていますが、そのことは専門家ではない私には判断がつきませんしここでの主題ではありません。

公共施設なので収益性だけで測定するべきではないでしょう。
こういう話になると”オリンピック・レガシー”という言葉を安易に持ち出す人もいます。

東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会によると、
①大会終了後に競技会場をスポーツ・エンターテインメント施設、選手村の跡地を文化・教育関連の拠点とする「物理的レガシー」

が規定されています。

さてさて、無形の価値(レガシー)を勘案するにしても6,500人の社員と1400億円の売上をあげる大企業とこの競技場とが果たして同等の価値を持つと言える人が何人いるのでしょうか。
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