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あんなにお金かけちゃって、今更ご破算はないよっ!?

危険な言葉です!

さて、テーマは豊洲市場問題です。
地下空間の話や、その謎や責任についての話ではありません。

あくまで管理会計としてこの問題を少しだけ考えてみようという気になりました。

豊洲新市場に費やされた資金は、
総額で5,884億円(用地取得、土壌汚染対策費など)
建設費だけでも2,747億円に上ると言われています。

今朝、ゆっくりとコーヒーを飲みながらバラエティー番組をぼーと見ておりました。
豊洲市場を扱っています。
出演者のひとりがおっしゃいました。
「あんなにお金かけちゃって、今更ご破算はないよっ!」

「そらそうだ。当然だ。」
と反射的に同意してはいけません。

管理会計において「どの代替案を選択しても同様に発生する、あるいは既に発生してしまっている原価」のことを埋没原価(Sunk Cost)と呼び、
意思決定においては考慮しない、ことになっています。

意思決定においては未来の変化だけを扱う、ということを意味します。
ある意味当然です。

意思決定おいて、
過去の支出は「もったいない」と考えることもなければ、
逆に過去の支出を将来における原価(特に減価償却費)アップとして見ることも
しません。(減価償却費の増加によるは節税効果はどの選択肢を選んでも確定しているならば考慮する必要無し)

例えば、あなたが休日に車ででかけたとします。
高速料金を入口で1,000円支払いました。
ところが、高速道路上で事故が発生、大渋滞です。
このままだと目的地まで5時間もかかってしまうと予想されます。

しかし、一番近い出口で高速を降りて一般道で行けば3時間で行けると予想されます。

こんな時、あなたは既に支払った1,000円が惜しいのでこのまま高速に乗り続ける、そう判断しますか?

大切なことは、未来における新たな支出、そしてこのケースでは到着に要する時間が重要でしょう。(その他の要因があっても、それらは全て未来の事象です)
つまり、過去の支出1,000円は未来において返金されるなどによって取り返せないとするなら、もはや意思決定において考慮に入れる必要がないということになります。
当たり前すぎる理屈です。
でも、額が大きくなるとそんなふうに当たり前に考えることができなくなる人が少なくありません。

豊洲における埋没原価はいくらでしょうか?
正確にはわかりません。
既に支出した資金であっても、土地や設備を売却によって回収できるものもあるかもしれません。

結局、未来における2つの選択肢(豊洲に移転、築地に残る)を
市場(東京都)のキャッシュフローと、
入居する卸売業者や仲卸業者のキャッシュフローの
両面から比較するしかありません。

例えば、市場自身(東京都)のキャッシュフローなら、

豊洲に移転する場合の未来における資金収支
○プラス
・家賃収入アップ(?)
・移転後の築地の有効活用による収入(うまくやらないとマイナスになる可能性も)
・販売額増加に伴う税収アップ(?)
○マイナス
・追加の汚染対策費
・豊洲新市場の設備維持に伴う費用増加分
・移転に係わる費用(東京都負担分)
・築地の有効活用のための投資

築地に残る場合の資金収支
○プラス
・豊洲における土地や設備の売却?
○マイナス
・設備更新に伴う支出
・汚染対策費(?)
・業者などへの損害賠償金
・オリンピック関連支出の増加額

などは考慮する必要があるでしょう。(他にも重要なものがあるかもしれません)

もちろん、キャッシュフローだけで全てが決まるわけではありません。
・安全に関する風評
・築地の観光資源としての評価
・両市場におけるオペレーションにおける効率性
・オリンピックの運営に与える影響
などなど

いずれにしても、犯人捜しばかりに熱心にならず、
そろそろ未来志向で検討するべき課題をリストアップする作業にかかってはどうかと思います。

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