ひとつの時代を作った偉大な経営者、鈴木敏文氏が引退され1週間が経ちました。

不幸な幕切れでした。

色んな見方があります。
誰が善玉で誰が悪玉、そんな区別はありません。
誰もが、最終的には事業を通じた社会への貢献を考えてのことだったと理解したいと思います。

それはそうと、鈴木氏の経営はメディアや書籍などを通して接する機会に事欠きません。

仮説検証主義、現状を否定し変化を求め続ける姿勢、ものすごい刺激をいただいた、ある意味私にとっても師のような存在です。

仮説検証主義を管理会計はどう支えることができるのか、そんなことを考えるきっかけを与えてくださったのも鈴木氏でした。

仮説検証を不断に繰り返すことで未来を創出していく、そう言えばある意味当たり前に聞こえますが、
過去の成功体験や同業者の既存の動きに縛られた我々にとって、それはそうたやすいことではありません。

固定観念を持たず、現場や数字などに表れた小さな変化を見逃さない、地道なねばり強い取り組みの先に皆が驚くような未来が待っているのだと思います。

ところで、”Your strategy needs a strategy”(邦訳:戦略にこそ「戦略」が必要だ)というボストンコンサルティンググループが書いた書物があります。
ここでは、戦略パレットというフレームワークを使って、事業環境に応じてどのような戦略的アプローチが有効かを整理しています。

戦略を、「市場の可変性」と「市場の予測可能性」の2軸で整理しています。(下の4つ以外に、苛酷な事業環境下での「リニューアル型」が追加されています)

戦略のための戦略

成功事例を一定の枠組みで整理して示した、後付けの良くあるパターンです。
経営学の多くは、過去事象の抽象化ですから、ある意味やむを得ません。

セブンイレブンやセブン銀行、更に高付加価値のPB商品セブンプレミアムは、ビジョナリー型
仮説検証による不断の改善はアダプティブ型
ということになりそうです。

さて、(自虐的に)コンサルタント風情がこのような枠組みを与えたところで、経営の現場をピクリと動かすこともできない、鈴木氏の経営を見るとそう感じざるを得ないのです。

セブンイレブンを日本でやろう、と鈴木氏が考えた時、小売業界は予想でき変えることができると思った人が果たしてどれだけいたでしょう。

現状を否定し、仮説検証を地道に繰り返し改善を積み重ねることで他チェーンを圧倒できると考えた人が、果たしてどれだけいたでしょう。

我々が学び取らなければならないのは、フレームワーク以前に、

生命の進化の歴史において、生き残ったのは?
“強いもの”でも、”賢いもの”でもなく
“変化したもの”である
ということではないでしょうか。

これまでうまくいっていたから、よそでうまくいっているから、
と自分を納得させ、
そして自ら考えようとせず、楽をする
そんなことへの訣別

自分の頭で考えて環境に適応することでしか生き残れないし、繁栄も無い

“当たり前”を疑う
タブーなど無い、変化こそが善なのだ

心の底からそう思える自分を作ること、

そのことをこの機会に再度確認をしたいと思うのです。

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