業績管理に「自己決定」と「市場原理」という2つの納得性に働く考え方を利用する、
それがここでのテーマでした。

もうひとつ、よく問題になるテーマを扱って、一旦この話題は終わりにします。

本社費・共通費の配賦の問題です。

部門別業績管理を行う際、プロフィットセンターである事業部などの直接費ではなく、本社部門でかかる費用や全社共通でかかる費用をいかにして各プロフィットセンターに負担させるか、

それがこの問題です。

何故問題になるのか、それは「自己決定」の範囲外の費用負担を強いられるということに原因があります。

各プロフィットセンターでは、自らの権限でコントロールできない費用負担を強いられるのでどうしても納得性が得られません。

そこで、どんな基準で配賦(各プロフィットセンターに負担させる)すれば良いのか、ということが古くからの悩みとして存在します。

何よりもまず大事なことは、

◎何故本社費・共通費を配賦する必要があるのか?

ということを再確認することです。

過去の調査研究から概ね以下のような事柄が明らかになっています。

1.本社費・共通費を前提として各プロフィットセンターが利益水準を想定しないと、全社として十分な利益が確保できない。

2.価格設定などの意思決定に本社費・共通費を考慮にいれる必要がある。

3.同業他社の損益と比較するためには本社費・共通費配賦後利益を計算する必要がある。

4.本社部門に対してコストコントロールについて圧力をかけるように刺激するため

1なら、本社費・共通費前全社利益目標を設定すれば配賦は必ずしも必要はありません。

2は重要ですが、元々価格において統一価格が決められているような会社においてはあまり意味はありません。

3は比較対象が存在する比較的大手企業においては有効でしょうが、そもそも比較対象が見当たらない場合には意味をなしません。

4は確かにありますが、あくまで付随的です。

このように、目的が明確でないのであれば、あえて本社費・共通費の配賦を行う必要はないのかもしれません。

その上で、「自己決定」「市場原理」ということを意識して、本社費・共通費の配賦の方法を考えるとおのずと次の6つの原則に行き着きます。

①まず内部振替方式で、受益者負担に基づく負担をさせる
 本社サービスの利用料を徴収するやり方は、配賦よりもはるかに納得性が高いやり方です。
 本社のサービスを利用するしないの決定権を与えることにより自己決定が実現します。

②本社費・共通費の配賦額そのものは予算額を使う(予定配賦)
 毎月本社費・共通費の実額に基づいて配賦計算をし直している会社がありますが、これはナンセンスです。
 各プロフィットセンターからすると、配賦額が変更になるというのは全くコントロール外ですので、配賦する場合であっても必ず予定配賦にする必要があります。

③配賦基準にはインプット基準を使う
 売上高や利益額などといったアウトプット基準は好業績に対して懲罰を与えるような不合理なやり方です。
 配賦基準は「稼いでいる」ではなく「稼ぐべき」を示す指標によって行うべきで、それは投入資源を配賦基準にするという考え方に繋がります。

④その予算額の決定には、被配賦部門の部門長も参加させる
⑤配賦基準は被配賦部門の部門長間の話し合いで決定させる
 いずれも自己決定原理の採用です。

以上の考え方は、必ずしも管理会計のテキストなどの記述とは異なることも多いですが、私櫻井が過去の経験と原理原則を大事にして考えついたやり方です。
どのように評価されるかは、読者の皆さんにかかっています。

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