戦略的撤退ある会社から、不採算事業からの撤退について相談を受けました。

まず、そもそも新しい事業を始める際には、必ず撤退の基準をあらかじめ定めておくことは鉄則です。
たとえば、3年以内に単月黒字にならなければ撤退、などです。
そのような基準を決めておかないと、人情としてずるずると、「もう5億も投資したのにもったいない」「あと1m掘ったら石油が出るかもしれない」などと決断を遅らせることになります。

さて、そのような前提のもとで、実際に撤退を検討する項目としては、少なくとも次のようなことは最低限必要です。

1.数値面

数字上の損得のとらえ方はひとつではありません。
少なくとも次の諸点に留意が必要です。

(1)固定費はほかの事業と共用で固有のものがないのであれば、固定費回収の意味で限界利益(売上高-変動費)がプラスであれば少なくとも短期的には会社に対して利益貢献している可能性がある。
(2)ほかの事業に忙しく、かならずしも共用の固定費回収の意義が低いということであれば、ほかの事業との関係で最適な組み合わせ(ミックス)を考えなければならない。
(3)固有の固定費を抱えている場合は、少なくとも短期的には埋没原価をはずして採算性を評価する。(もちろん長い目で見た場合の再投資を前提とした評価も合わせて必要)
(4)他事業との共用の固定費配賦は非常にくせものなので要注意。見かけ上は赤字でも、たとえば閑散期の遊休資源を有効活用しているような場合は存在意義のあるケースも多い。
(5)損益分岐点売上高を計算し、それをクリアできる可能性を検討する
(6)最終的には撤退した前後の数字の変化を詳細に見積もることが必要。(日本の場合人件費など撤退後も少なからず残る費用は多い)

2.非数値麺

以下の点が少なくとも予め検討をする必要がある。

(1)健全な赤字ではないか?
ライフサイクル上、成長期の赤字は健全な赤字であることがある。
(2)事業単体では採算性は低くてもほかの存在意義がある場合がある。
ブランドイメージを形成している場合
他事業を補完している。顧客がセットで買ってくれる等
採算性は低くても、たとえば情報収集、技術開発や社員教育面での意義があるなど
(3)撤退した場合の悪影響
悪評
在庫処分による大きな損失
要員の有効活用が難しい場合

管理会計の専門家として特に強調したいのは、
見かけ上の赤字は、会社に対して本当の意味でマイナスになっているわけではないことが多い、という点です。(上記1-(1),(4),(6), 2-(1),(2))


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