lgi01a201412030700tワタミの業績不振が報道されています。
外食の不振がその要因とされていますが、本当なのか、検証してみました。

まずは、セグメント(事業)別の売上高と営業利益の推移です。
ワタミセグメント別売上・営業利益推移合計の売上高は減少しています。
その最大の要因は国内外食の売上減少であることは間違いありません。
ただ、急成長した宅食事業の売上も、直近期において減少に転じてます。

次に営業利益を見てみましょう。
確かに国内外食の不振は著しいことがわかります。直近2期はマイナスです。
宅食・介護も営業利益を落としています。
ちなみに、宅食・介護のH.23.3期の営業利益率はそれぞれ17.4%・8.8%でしたが、H.27.3期においては6.8%と4.8%に低下しています。
有店舗型の事業においては、1店当たり売上高が利益率に大きな影響を与えますので、その低下傾向が著しいのではないかという仮説が成り立ちます。
分析してみました。
ワタミセグメント別1店売上推移予想通りです。いずれの事業もほぼ一貫して1店売上高は低下傾向にあります。

1店売上が減少しても、それ以上に出店すれば率は低下しても額は稼げる、それが外食や小売のひとつの論理です。そのようにして規模の経済性を追求するビジネスモデルを取ることが多いわけです。
検証してみました。

ワタミセグメント別店舗数推移

宅食事業を明確に戦略事業と位置づけ、積極投資してきたことが一目瞭然です。
メインの事業であった外食への投資を控え、新規事業である宅食事業に資源を傾斜配分してきた、これはオーナー企業の良い面が出ていると考えられます。これまでの屋台骨事業への投資を手控えて次の事業に積極投資をするというのは、理論的に理解できても、なかなか実際には社内政治的に簡単なことではありません。

確かに、宅食と介護はH.25.3期あたりまでは規模の経済性を享受してきたと言えますが、近年は競争の激化によって、収益性を大きく落としています。

最後に以上を総合する意味で、各事業における売上高の前期比での増減を「1店当たり売上高」と「店舗数」という2つの原因に分解してそれぞれの貢献度を分析してみました。(棒グラフは前期比の増減額)

ワタミセグメント別店舗数vs1店売上貢献度分析

〇国内外食事業
H.26.3までは1店当たり売上高の悪化傾向が目立ちましたが、H.27.3では一転して、店舗数減少によるマイナスが大きくなっている一方、1店当たり売上高は改善しています。これは、不採算店の大量閉店によるもので、過去の規模の経済性追求モデルに決別した象徴と言えるのでは無いでしょうか。

〇介護事業
一貫して拠点数の拡大によって売上高を大幅に増やしてきました。
H.26.3以降は、1拠点当たり売上高の減少が目立つようになり、直近では、拠点数増加による売上増加を1拠点当たり売上高の減少によるマイナスの効果によって打ち消される状況になっています。

〇宅食事業
急速に拠点数を増やした宅食事業ですが、年々効率性は低下、1拠点当たりの売上高が足を引っ張り、直近期においてはついにトータルで売上の減少という結果になっています。

介護と宅食、事業のライフサイクルにおいては間違いなく成長期にあります。
成長期における厳しい競争を制し、シェアを確保した企業が将来の果実を得る、そんな戦略の論理からすると、多少利益水準を落としてでも顧客サービスを一層充実させ、シェア獲得に努力を傾ける時期ということになります。

宅食事業において、ワタミは現状ではリーダーですが、じりじりとシェアを落としている状況を考えると、資源の集中点(どの事業、どの地域、どの機能)を明確にした戦略的対応(資源の傾斜配分)が一層重要なのだろうと言えます。


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